~地球の声に耳を傾ける~エコピープル

 

2024年夏号 Ecopeople 100吉田夏織さんインタビュー

天候不順が続いた今年の春。東京はすでに桜も散り、緑の季節へと一挙に歩み始めた4月初旬、2時間足らずの飛行で到着した札幌千歳空港周辺はまだ根雪が残る寒々しい景色が広がっていました。深く息を吸い込むと肺がキュッと引き締まる感覚に、北の大地に降り立ったことを実感。空港からJR快速エアポートに乗り、札幌在住の写真家と待ち合わせた新札幌で下車。札幌の東側に広がる住宅エリアを抜け、豊平川を渡ると札幌の中心部に入ったことを告げるランドマークが次々と現れます。

さっぽろテレビ塔、時計台、札幌大通公園、そして円山公園に近づくと、道路は次第に上り坂となりました。北海道神宮、円山動物園などあちこちに雪が残る白い風景が目の前に広がり、大倉山シャンツェ付近の森を抜け、小別沢トンネルをくぐると、あたりはさらに一変。気温は一挙に下がり、車内に設置された外気温の表示は2℃。ただ、ほとんど人影もない冬枯れの景色の中、目指す目的地、アグリスケープらしい建物は全く見当たりません。とりあえずはナビが示す方向に向かおうということになり、私道のような脇道に車を乗り入れると、雪解け水を流す水路作りをする男性の姿を発見!まずは彼にアグリスケープへの道を訊ねることにしました。私たちの問いかけに嫌な顔もせず、手を休め「それらしい店はこの道の先にあるよ」と前方を指差しました。道端に立てかけられた熊出没の看板を横目に見ながら恐る恐る車を前に進めると、右手にビニールハウス群と動物たちが顔を覗かせる建物を発見。そしてその先に黒い外装のスタイリッシュなレストランの建物が現れました。空港から2時間あまり、アグリスケープに無事に到着できました。





取材日|2024年4月9日
取材場所|アグリスケープ(北海道札幌郊外)
取材・テキスト|太田菜穂子
写真|浅野久男





吉田夏織さんインタビュー


吉田夏織 YOSHIDA Kaori

1978年函館生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業後、米国カリフォルニア州へ留学し、授業の一環で飲食業で研修。東京と札幌で料理の経験を積み、SIOに入店。2019年、農業研修を経てアグリスケープの料理長兼農場長に。2021年狩猟免許取得。