液体の宝石、アイス・ワイン 

 アイス・ワインは通常の収穫時期に収穫せず、過剰に熟成させたブドウから生まれる。収穫は気温が零下10度近くまで落ちる日が選ばれ、凍ったままプレスされる。収穫やプレスの途中で気温が上がり、ブドウが解凍されてしまえば、その年の収穫は失敗ということになってしまうだけに、ワイナリーの人々は初冬の気候に神経をとがらせる。
絶好の気温と判断が出れば、真夜中でも収穫が始められる。収穫は手作業。すぐに指先が凍りつくように痺れてくる。ブドウ畑には作業の人々の吐く白い息が薄い霧のように広がっていくという。
こうして収穫されたブドウから、ごく少量のトロリと甘い濃厚なジュースが絞りとられる。それが最近日本でも注目されているアイス・ワインに生まれ変わるのだ。独特の甘味をほんの少し味わう……ワインを愛する人々の至福の時だ。