エコキッチン13:粕汁
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粕汁

凍てつく夜は、とにかく温かいものを食べて、体の奥底からじんわりと温まりたい。そういうわけで、わが家の冬の食卓には、鍋料理が週に2度は登場するのですが、2月の1番寒い日は熱々の粕汁を作ります。にんじんや大根、豚肉など具をたっぷりと入れてぐつぐつと煮込み、味噌と酒粕で仕上げる。その作り方は地方によって少しずつ異なるようですが、わが家はやはり関西風。母が作ってくれた関西の粕汁です。
 
だってみそ汁に酒粕をいれるだけですもの。 酒どころのここ新潟には、おいしいお酒を作った後の、おいしい酒粕がたくさんあります。お店で売られているものもあれば、蔵から直接譲り受けるものもある。袋から取り出すと、ぷわ〜んと日本酒の魅力的な香りが鼻をくすぐり、少し酔っ払ったような感じになります。私は幼い頃から、何杯もおかわりするほど大好きでしたが、娘はまったくダメ。確かに、好き嫌いのはっきりする味ではあります。今まではずっと、彼女には酒粕を入れる前の“味噌汁”を取り分けていたのですが、ここのところになって、やっと食べられるようになりました。というか、好物になりつつあります。大人になった証拠でしょうか・・・
作り方はいたってカンタン。だって味噌汁に酒粕を入れるだけですもの。ただし、よい酒粕をケチケチしないで多めに入れることが大切。私はどろんとしているくらい、濃厚なのが好き。具は大根、にんじん、油あげ、豚肉。母はこれにちくわの輪切りもプラス。これはたぶん母のオリジナルだと思います。彼女は広島の瀬戸内の出身なので、なにかとちくわを入れる。お好み焼きにもちくわが入っています。おいしいんですよ、これが。
     
粕汁の作り方01   粕汁の作り方02
 
起きたての体がぽかぽか 新潟では鮭を入れることが多いようです。しかし主人は粕汁自体にあまりなじみがない様子。そういえば料理教室の生徒さんに聞いても、粕汁を日常的に作る人は多くはありません。たまに料理屋さんで食べる程度とか。魚や野菜の粕漬けはよく目にしますが、お汁にしていただくのはやはり関西の方が多いのかもしれません。粕汁はたっぷり作って、次の日の朝にもいただく。起きたての体がポカポカと温まり、頭がシャッキリと冴えてきます。朝はここに焼いたお餅を入れてみてください。これ絶対オススメです!
     
粕汁の作り方03   粕汁の作り方04
 

粕汁の作り方

○材料 4人分 ○作り方
酒粕100g
大根5センチ長さ
にんじん1/2本
油揚げ1/2枚
豚バラ50g
かつおだし汁4カップ 味噌大匙1〜2
1 大根、にんじん、揚げは短冊に切る。豚肉はひと口大に切る。
2 鍋に 1、かつおだしを入れ、ふたをして野菜が柔らかくなるまで煮る。
3 味噌で味をつけ、酒粕を溶かし入れる。 
 
中島有香 中島有香 Yuka Nakajima
大阪出身、新潟在住。1988年に渡仏し、フランス料理の基礎を学ぶ。帰国後東京にて、女性誌や料理教室でオリジナルの家庭料理を提案。94年に結婚を機に新潟に暮らす。現在は新潟の豊富な素材に感謝しながら、自宅での料理教室等でその使い方と楽しみ方を発信。利酒師の資格を持ち、地元の味の研究にも余念がない。夫と娘の三人家族。
関連サイト → http://www.yuka-chotsu.com

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