エコピープル 50「東京スカイツリー物語」part2

東京スカイツリータウンというスケールだから達成できるDHCでの節電

編集部

東京スカイツリータウンの冷暖房システムは一括管理されるということですが?

今野

今年は社会全体で実現できる節電スタイルへの努力がなされていますが、これからの時代における大規模な都市開発ではエネルギー供給と地域の安全拠点としての機能が非常に重要な課題になってくるはずです。東京スカイツリータウンでもそうした社会への責任を果たすシステムが採用されており、DHC(地域冷暖房 District Heating & Cooling)もそのひとつです。DHCでの熱供給事業は既に多くのエリアで実施され、副都心や丸の内エリアなどの143地区が冷暖房用の熱源をつくるネットワークをエリア全体で共有しています。東武グループも既に1985年に西池袋で、近年は錦糸町駅北口の再開発プロジェクトでの実績もあったので、東京スカイツリータウンの計画でDHCを導入する素地は整っていました。

編集部

まずは今回設置される「大容量水蓄熱槽」について伺えますか?

今野

DHCのメインプラントは東京スカイツリータウン内の西街区地下に設置し、「大容量水蓄熱槽」はメインプラントに併設し設置しています。なお、サブプラントは東武鉄道本社ビルの地下に設置しています。さらに、メインプラント内には高効率・省エネ・省CO2性能の大型熱源機器を設置し、夜間電力で夏季は5℃の冷水、冬季は48℃の温水を大量に製造し、これを「大容量水蓄熱槽」に蓄え、翌昼間に、この蓄えた冷温水を冷暖房に使用することで、昼間の電力使用量を抑えることを目的にしています。今回設置したメインプラントの水蓄熱槽には約7,000トンの水を保有することができ、25メートルプール(標準水量400トン)に換算すると17杯分の規模があります。

編集部

ずいぶんと大規模な水蓄熱槽ですね。

今野

3つのメインの水槽は深さ16メートル、幅7.8メートル、奥行き16.8メートル、さらに左右に付帯の水槽を配した蓄熱槽は、夏季と冬季で温水と冷水のバランスを変えることで、熱源を効率よく管理することができるシステムです。

編集部

ここに蓄えられる水は普通の水なのでしょうか?

今野

そうです。保有水は普通の水道水で、常時循環させて使います。そんなこともあり、この水を利用して、大規模災害時には地域の生活用水や消防用水としても提供しようと現在、行政サイドと協議を進めております。ちなみに、成人ひとりが一日に使用する生活用水は約30リットルとの算出値がありますが、スカイツリータウンの大型蓄熱槽に保有できる7,000トンという水量は実に約23万人分にあたります。この水は普段は、昼間の電力使用量を抑えるために用いますが、いざという時には地元の方々に役立てていただければと考えています。

編集部

安定した水温を保ち、夜間電力を使用してのDHCシステムを導入するとどのレベルの節電が実現できるのですか?

今野

私たちの検証結果では、夏季は冷房のピーク月である8月で約40%、同じく冬季では暖房のピークとなるだろう2月では41%のピーク電力のカットが出来ると考えています。利用者の快適性を損なうことなく達成できる節電として、これは意味ある数字と思っています。さらに、当地区では全国のDHCでは初めて地中熱利用を採用しました。

水槽