ノマドの世紀に第11回

 

写真:キューバ

タイトル

相変わらずニュースを見ている。
フリーチベット!
叫ぶ映像の連続に心を痛めながらも、
ともするとこれは現実ではないのでは、
といった思いがよぎる。
そんなとき、ふとモニターの向こうと
リアルにつながるものがあった。
叫ぶ群衆のなかにコカコーラを
もった人がいたからだ。
コーラがいまさらフリーダムの
象徴であるはずもないが、それは
大きな力に抗うようで実は大きな力の
手のひらで踊らされている、そんな
現実の一面をよく表しているようにみえたからだ。

コーラで思い出したのはキューバのことだ。
ここもアメリカという大国のそばで
経済封鎖などの荒波に何度もおそわれながらも
独自の文化を守り抜いてきた小国だ。
空港に降り立ってみると実に気持ちがいい。
カリブの風の中には音楽があるからか、
それともさとうきびの甘い香りのせいか。
さとうきびから出来たラム酒が、米兵の持ち込んだコーラと
結びつき、キューバリブレ(キューバの自由)になった。
キューバに自由の象徴をもたらしたのはアメリカ人?
もっとも、独立戦争のころだが。

そんなキューバとチベット
似ているのは抜ける空の青さ。
降り注ぐ陽の光だ。
でもキューバには石油も天然ガスもない。
使えるエネルギーは太陽の光と水と風と
さとうきび・・・
ということになると、
キューバは実は21世紀型のエネルギーシステムを
早期から長いこと続けていることになる。
鎖国というのは、時にとてもいいヒントを
与えてくれるものだ。
キューバでは自転車という人力も見直されている。
エネルギーのない国が遅れているのではない。
むしろ、エネルギーに翻弄されている
われわれこそが前近代的なシステムから
逃れられていないのだ。
VIVA エコ・キューバ!
ただ、太陽発電を売り込んでいるのは中国なのだが。