FILE-003

“ごみダイエット”を呼びかける
崎田裕子さん
ジャーナリスト
・環境カウンセラー


さきた・ゆうこ
ジャーナリスト・環境カウンセラー。1951年生まれ。立教大学社会学部卒業。
集英社で「non-no」誌、「cosmopolitan」誌といった女性誌の編集を手がけた後、フリージャーナリストとして独立。
環境庁登録の環境カウンセラー、東京都環境学習リーダーとして、環境学習の企画運営などに関わるかたわら、「ごみ減量のための『東京ルール』を考える懇談会」都民公募委員、「都民のための行政改革を考える会」委員を歴任。東京都清掃局「家電リサイクル研究会」委員など自治体や財団の環境関連専門委員を多数務めている。「元気なごみ仲間の会」事務局長。「新宿環境情報ネットワーク」発起人代表。こどもエコクラブ・サポーター。


【主著】『ごみゼロ東京が見えた日』(日報1999)
    『自分さがし』(海南書房1985)
    『だれでもできるごみダイエット』(合同出版1999)

「木を見て森も見ていたい」と語る崎田裕子さん

柳眉の下でゆったりと微笑む瞳。落ち着いた雰囲気が対面する人を穏やかな心持ちにさせる崎田さん。お住まいのある新宿区を拠点に地域のネットワークを育て、生活者の視点に基づく執筆・講演活動を通して環境問題に取り組んでおられる崎田さんにお話を伺いました。

崎田さんの活動を知る5つのキーワード

ごみダイエット
環境カウンセラー
地域
木を見て森も見ていたい
愛着


◆ごみダイエット
崎田さんが実践するゴミ減量作戦


ダイエットでも、まず、ヘルスメーターで実態を知ることから始めますよね。ゴミを減らすのも同じ。我が家のゴミの量を計ることが第1歩です。崎田さんが使うのは10kg用バネ秤(ダンナ様からの結婚記念日のプレゼント!)。95年に“ごみダイエット”を始めたとき、崎田家(家族4人)のゴミは1ヵ月98kgありました。ゴミを計るときは、A 生ゴミ、B 新聞雑誌、C A、B以外の可燃ゴミ、D びん・缶、E D以外の不燃ゴミの5つのジャンルに分けます。それぞれの重さを計ってから合計するわけです。こうして、日々家族が出すゴミの総量を計り、記録していきます。(崎田さんは家計簿のようなチェックシートを作っています)だんだんA〜Eのゴミの正体がわかってきますから、意識して減らせるようになるでしょう。減り始めれば快感でドンドン減らしたくなるのは、ダイエットと同じ。分別を徹底すること、ゴミの多い商品はあまり買わないことが減量のコツです。
崎田家で、半年後に計ったゴミの重さは33kg! なんと1/3になっていました。

生ゴミをミミズが処理する「ガボックス」。
(鉢の真ん中でミミズを飼い、その周囲で花や野菜を育てる)


◆環境カウンセラー


環境カウンセラーというのは、環境庁が地域や事業者の環境活動を活発にしようという目的でつくった制度で、各地域で活動するリーダーは市民部門として登録しています。崎田さんはその一期生。審査の上、登録されますが、それぞれの環境カウンセラーが自らの意志で活動をします。
崎田さんが意識するのは「パートナーシップ社会」。市民・企業・行政三者がパートナーシップでもってリサイクルや環境をめぐる社会的な状況に向っていく、そんな社会です。確かに、現実社会の中で市民・企業・行政は互いに強く結びついていて、敵対するものではありませんよね。環境カウンセラーは三者の結びつきの潤滑油のような役割を果たすのです。

◆地 域

崎田さんは仕事として環境にかかわるだけでなく、地域をホームグランドに、職業、立場、年齢を超えて「よりよい社会のしくみ」を目指した活動をボランタリーに展開しています。
例えば、新宿環境情報ネットワーク。情報というのは、区の○○課の情報、△△企業の某課の情報、□□市民団体の情報・・・という具合に縦割りになってしまいがちです。そこで、新宿に住む、あるいは新宿で働く人々が、知りたいと思う環境情報を自由に手にできるように、行政サイド、市民サイドの垣根を飛び越えて個人個人がつながるネットワークを組織しています。毎月“新宿の環境イベント情報”を発行し、3ヵ月に1度、軽食とお茶をいただきながら集う会を開いているのだそうです。崎田さんはこのネットワークの発起人代表

◆木を見て森も見ていたい

崎田さんは生活者の視点を大事にしています。環境問題を考えるときも、まず自分で“ごみダイエット”を実践します。社会の中で「あれ?」とひっかかることがあると、「自分はどうしているだろう」と、まず自分自身を確認することから始めるのです。
次に、一人また一人と仲間を見つけて、個人と個人をつなげていく。それが、やがてネットワークとなり「地域」を形づくっていくんですね。個人レベルの意識を社会という広がりにまで育てていく力。それは、崎田さんの“人と人のつながり”を大事にする感性が実現しているのでしょう。崎田さんは「私は、木も見ていたいし、森もみたいと思うんです」と言います。

◆愛 着

新聞・雑誌をリサイクルするときは、ある程度まとめてから十字に紐がけします。ガムテープなどの粘着テープで止めてしまうと、取れにくく、作業する人が困ってしまうのです。また、紐がけは作業の便宜性のためだけでなく、リサイクルする古紙に「愛着」がわく、という利点があります。崎田さんはその著書『ごみゼロ東京が見えた日』で書いています。
「私も、ひと手間かけてすすいだ後、きれいになったびん・缶に愛着が湧いてきたのを実感したことがあります」消費社会のひずみが見え始めた今、ものに対する「愛着」をいかに持つかが、21世紀の新しい価値観を見出すよすがになるのではないかと、崎田さんは考えています。
人と人、人ともの、それらのつながりに優しさや愛着を抱くことのできる社会。崎田さんは地域での活動を進めながら、静かに時代がシフトしていることを感じとっているのです。

【元気なごみ仲間の会】
崎田さんが事務局長を務める「元気なごみ仲間の会」は、ごみ問題に挑戦・克服しようとしている全国のごみ仲間の“ゆるやかな連帯”をめざして、1996年にスタートしました。5月31日には「元気なごみ仲間の会の全国交流集会in東京」が、開催されます。
詳しくは → http://www.nippo.co.jp/

だれでもできる
ごみダイエット

これ一冊であなたの家のゴミを3分の1にすることができます。崎田さんの環境に対する考え方も判る読みやすい本。

本体1300円+税
/合同出版刊