大学を超えて「環境」でつながる学生たち


Q2.所属する環境ネットワークの
主旨・活動内容を教えてください。(その3)

環境政策ネットワーク(by 岡田浩一)


環境政策ネットワークは、1999年12月に立ち上がりました。環境三四郎や環境ロドリゲス等で、社会に対する政策提言活動が積極的に行われてきたこと、また、キャンパス・エコロジー活動が地域への広がりを見せ始めたこと、エコ・リーグが提供するネットワークにおいてOBが現れ、世代に広がりが出てきたことから、学生と社会人の方々による、環境政策について考え、行動していく組織として、発足したわけです。立ち上がってからの具体的な活動を紹介すると、まず、廃蛍光灯の回収の問題に取り組みました。蛍光灯に含まれる水銀が最終処分場で漏れているという問題があって、東京23区の回収状況等を調査し、それを基にした代替案を東京都の公害防止条例改正案に盛り込むように提言しました。

また、昨年の衆議院選挙において、各政党の環境政策を調査してホームページに載せる、といったこともやりました。
こうして活動してきたわけですが、ふと、立ち止まってみると政策提言もよく言われていることの反復に止まっているのではないか、という思いが沸いてきます。環境税を導入するといったことも以前から言われていますし、それを実現するのはもちろん意義があるのですが、それだけでいいのか、という思いもあるわけです。そこでもう少し、学問分野の探求を進め、代替案を作るということも含めて、各自が専門性を高めるということを目指しています。これは、活動主体に大学の3、4年生が増えてきたということも影響しているかもしれません。週に1度くらいの割合で勉強会をしたり、交流・情報交換をしたりもしています。

最近、取り組んでいるのは、「環境問題とライフスタイル」の問題です。僕は環境サークルに所属し、ECO学園祭ネットワークにも参加して、ある種の意識啓蒙を目指してきました。でも、自分を一人の生活者として振り返ってみると、コンビニも利用しますし、パソコンもかなり使っています。それがいいか悪いかということではなくて、なぜだろう、ということなのです。

例えば、望ましいライフスタイルのモデルのようなものは、どこの自治体の環境基本計画でも作り、その意識啓蒙もさんざんやっている。でも、実現していない。それはなぜなのだろう、ということなのです。環境にやさしいといわれているライフスタイルが、人間が幸せに生きるということからすれば、無理な提案をしているのかもしれない。人々の意識と行動をもっとよく理解した上で、意識啓蒙をする必要があるのではないかと考えたわけです。

大学3、4年になると、卒論や院試等で英語の文献を読む必要が出てくることもあっ
て、それを皆で持ち寄って、人々のライフスタイルがどういうふうになっているのかを見つめ直してみる。また、一般的に「環境にやさしい」と言われているライフスタイルと、実際のライフスタイルがどうして乖離しているのか、それを変えていくにはどうすればいいのかを考えたいと思っています。

人間のライフスタイルには、利便性、経済性、道徳・倫理観、慣習・文化、人間関係といった側面が考えられます。昨年冬くらいに、利便性と経済性の側面から、環境経済学の本を輪読しました。今後やっていこうとしているのが、人々のライフスタイルに道徳・倫理観、人間関係といったものが、どう関わっていくかというテーマです。でも、ただこういったことを勉強していくだけでは弱いので、アウトプットもしっかりしていこう、と思っています。一例としては、環境NGO職員、大学教授等によって設立された「くらしの未来像を考えるネットワーク(仮称)」と連携し、購読会の成果を踏まえた啓蒙イベントを開催したり、首都圏近郊の環境サークルの学生によって進められている、コンビニや住宅の環境改善プロジェクトとの連携等を予定しています。


もうちょっとだけ、おしゃべりを……。

“座談会”は、みなさんのサークル活動を説明していただくだけでタイムアウト。
是非、もう一度機会を作ってくださいね、と手前勝手にお願いし、少しだけこぼれ話をご紹介して、今回のECO PEOPLEは終わります。

二見 インターカレッジの活動では、いろいろな組織とその活動がクロス・オーバーしているので、学校を超えた友達がたくさんいます。年齢や学年による上下関係はまったくなくて、やる気のある人がどんどん役割を担っていく。環境をよくしたい、という目指すところでつながっているんですね。同じ大学の同じクラスの人よりも仲がよかったりもするんですよ。

――今日は、ナイスな男性陣に集まってもらえてとてもうれしいのですが、環境サークルに女子学生は参加していないのですか?

飯田 昨年の駒場の代表は、女性でした。大学自体に女子学生が少ないので、男子学生より人数としては少なくなってしまうけれど、もちろん女性も熱心に取り組んでいますよ。早稲田大学もそうだよね?

山岸 実は僕、昨日まである断食道場で3日間、断食していたんです。その前に、日本各地を野宿して歩き、京都にある無農薬農法で農業を営む農家に居候させてもらいました。そこで感じたのが、食の大切さ。今、僕らが食を大切にしないのは、意識して食事することを忘れてしまっているからじゃないのかな。一日中労働した後にいただく食事は本当に美味しかった。そんな経験から、「食」を見直すことが最近のテーマで、断食はそのために決行したんです。「食」を考えることはきっと幸せにつながると思うから。

岡田 僕たちは、「環境」に偏り過ぎず、今の社会の価値観を知った上で、「環境」や「経済発展」、「幸せ」が両立できる代替案を提示していきたい、と思っているんですね。それが共通認識です。

織田 環境を考えるのは複雑な問題で、例えば水質汚濁よりもごみの埋立地確保の方が優先ならば、そっちに価値を置いて取り組まなくてはいけない。地域、時代に応じた現状把握から鑑み、対応していかなくてはならないと思います。(END)


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