エコキッチン12:ルレクチエ
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ルレクチエのクラフティ

クリスマスシーズンになると、私の大好きなものが新潟の果物屋に並ぶ。それは「ルレクチエ」という洋梨。まるでふくよかな女性のヒップのように、ぷっくりと丸みをおびたフォルム。リキュールのように甘くて官能的な香り。ねっとりと舌にからむ食感。食べるたび、“色っぽい果物だな〜”と思います。

 
最初は冷たくしたものを、今年の出来を確かめながら大事に食べる 私が初めて洋梨というものを食べたのは、かれこれ20年ほど前。フランスのマルシェで山積みされた、黄緑色の、ひょうたんみたいな「ポワール」。食べたことのない独特の風味に、しばしうっとりしたものです。さらに洋梨はそのまま食べるだけでなく、焼いたり、コンポートにしたりと、デザートにも使え、日本で食べなれた和梨ではありえないこと。私はこの“ヨーロッパっぽい”フルーツが好きになり、帰国してからも季節になるといろいろな調理法で楽しんでおりました。それが、新潟に来て初めてルレクチエに出会ってからというもの、今までの洋梨レシピがまた一段とおいしくなり、それはそれは感動! とろんと熟したルレクチエの皮を、ナイフで薄くむき、透明感のあるクリーム色の果肉をいただく。幸せのひと時・・。このままでも充分デザートになるのですが、火を通すとまたいっそう香りが立って美味。なので私は毎年、最初は冷たくしたものを、今年の出来を確かめながら大事に食べる。そしてその次に、焼き菓子にしたりアレンジを加えて贅沢にいただくのです。ルレクチエはもともとフランスのフルーツで、その種を新潟に持ってきて栽培を始めたということ。秋ごろまだ青い果実を収穫し、後は11月の終わり頃まで貯蔵庫で大切に追熟させます。大事なのは食べごろを上手に見分けること。色はレモンをもう少しクリーム色にさせた感じ。おしりの匂いをくんくんとかいで、甘〜い香りがしてきたらOK。
     
ルレクチエのクラフティの作り方1   ルレクチエのクラフティの作り方2
 
普通の洋梨でもおいしくいただけます

今回は数あるルレクチエ・レシピの中でも、私の大のお気に入りをご紹介します。作り方も簡単なので、娘1人にまかせても大丈夫。彼女は卵のデザートはクレームブリュレ(しかもとびきり美味いもの!)しか食べない贅沢者なのですが、このクラフティだけは好き。ルレクチエのほのかな酸味と卵の甘さが溶け合って、食事の後のデザートにもぴったりです。もちろん、ルレクチエが手に入らないときは普通の洋梨でもおいしくいただけますよ。なにかと人が集まる機会が多くなるこれからの季節、ぜひお試しくださいませ。

     
ルレクチエのクラフティの作り方3   ルレクチエのクラフティの作り方4
     
ルレクチエのクラフティの作り方5   ルレクチエのクラフティの作り方6
 

ルレクチエのクラフティの作り方

○材料 4人分 ○作り方
ルレクチエ1個
グラニュー糖30g
レモン汁1/2個分
卵2個
牛乳1カップ
1 ルレクチエは皮と種を取り、スライスする。
2 ボールに卵、グラニュー糖を入れてもったりとするまで泡だて器で混ぜ合わせる。
3 レモン汁を加える。
4 人肌に温めた牛乳を3に少しずつ加える。
5 グラタン皿に1を並べ入れ、3をかけ、180℃のオーブンで約12分焼く。
 
中島有香 中島有香 Yuka Nakajima
大阪出身、新潟在住。1988年に渡仏し、フランス料理の基礎を学ぶ。帰国後東京にて、女性誌や料理教室でオリジナルの家庭料理を提案。94年に結婚を機に新潟に暮らす。現在は新潟の豊富な素材に感謝しながら、自宅での料理教室等でその使い方と楽しみ方を発信。利酒師の資格を持ち、地元の味の研究にも余念がない。夫と娘の三人家族。
関連サイト → http://www.yuka-chotsu.com

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