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朝起きたら、新しいことをしたい

――環境問題が「おしゃれな生き方」として捉えられると、そこには義務や決まりごとのイメージがありません。楽しさがある暮らしのことですよね?

例えば、アフリカのマサイ族は、スローライフだよね。食事もスローフード。昔ながらの暮らしをやってる。じゃあ、それが楽しいのかっていうと、そんなことないんだよね。世の中には面白いことがもっともっといっぱいあるでしょう? そうやって考えていくと、人間について唯一正しいことは、「生まれた以上、快楽的に生きることがいちばん幸せだ」ということじゃない?
ソトコトでは、世界でただ一人の“サーファーかつノーベル化学賞受賞者”っていうマリス博士の連載を載せている。この人はバイオの基礎を確立した科学者で、「ドクター・マリスがいなければ、ここまでバイオは進化をしなかった」といわれている人物。そして、そのマリス博士のキーワードが「Enjoy Yourself」なんだよね。
スローフードを追っていく中で京大の先生に教わったんだけど、最近は「プ
リペアード・マインド」の重要性が言われているんだって。パスツールが言った言葉だそうなんだけど。子供たちにどういう世界を残すかを考えたときに、彼らにプリペアード・マインドをもってもらうようにする。プリペアード・マインドって何かっていうと、新しいことに出会ったときにそれを受け入れて、好奇心をもって見つめること。直訳しても「準備する心」だよね。今の子供たちは、放っておくとボーっとしちゃってるわけでしょ? 新しいことが起きたり、楽しいことが目の前で展開しても、無反応な子供が増えてきてるわけでしょ? そうじゃなくて、何ものにも好奇心をもって、毎日を楽しく生きようとする心を育ませようとするわけだよね。

――でも、どうやって子供たちの心を「準備状態」にできるのでしょう?

記憶に頼りすぎずに、新しいことが好きになればいいんじゃない? 記憶っていうより、知識かな。感覚として覚えておくことはいいことだけど、知識として溜め込んでおくと、よっぽど脳の要領が多くないかぎり、フレッシュな感覚がもてないから。

――小黒さんは「プリペアード・マインド」を常に持ち続けていらっしゃるのだとお見受けしますが……。

僕は53歳なんだけど、同級生に会えばみんなもう人生分かったような感じがあるでしょ? でも、僕はいまだにカミさんとケンカしてるしさ、女っていうのは相変わらずわかんない。でも、わからないから面白いんだよね。やっぱり、朝起きたら、新しいことをしたいんだよね。生きることは旅だって思っている。旅って新しい出会いの連続でしょ? 過去の経験、価値観に沿った展開にはならないじゃない? 思わぬことが起こる。僕は、それがいちばん面白いと思うから。>>PAGE-3