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Q: マイクロガスタービンについてご説明いただけますか?

笠木: 現在、さまざまなタイプのマイクロガスタービンが製造、開発されています。再生器の配置を工夫し発電効率を向上させたものや、排熱ボイラーを組み込んでコジェネレーション・パッケージとしたもの、自動車の開発部品を利用し価格を極力抑えたものなどもあります。容量は緊急・移動用の3 kW程度から常用の300 kWまでとさまざまです。開発においては欧米のメーカーが進んでいますが、日本でも自動車メーカーから派生したトヨタタービンシステムズをはじめとして各メーカーが開発に乗り出しています。価格的にはkW当たり10万円程度で量産できれば普及していくでしょう。
Q: マイクロタービンの長所はなんでしょうか?

笠木:いくつかの長所がありますが、ますコスト面で今後さらに低廉化するだろうという点です。どんなにいいシステムでも高価過ぎると、普及に時間を要しますからね。マイクロタービンが極めて単純な構造なのですね。タービンは連続的な回転体であり、さらに小型化も可能です。現在のところ、燃料電池などに比べると、安いコストで耐久性や要素寿命を長く設計できますし、多種類の燃料を使うことができ、運転管理・保守も簡単です。さらに、燃料電池など他のシステムと組み合わせることで、総合的にエネルギー利用効率を飛躍的に高められる可能性があることも挙げられます。また、天然ガスを利用すれば排気ガスがきれいであるという長所も見逃せないでしょう。


未来に致命的な禍根を残さないよう、
上手にエネルギーを使っていかなければならない!

Q: 今後の課題はなんでしょうか?

笠木:まずは発電効率を改善すべく最適設計を本気で行う必要があるでしょう。マイクロタービン用の小さなタービン、圧縮機、燃焼器などに関しては、これまで計算流体力学などの最新の知識を活用した製品開発がされてきたかどうか疑問ですので、私は今後そういった先端的手法がもっと活用されるべきと思っています。さらにはエンジンの高温化や軸受けの技術開発も必要になってくるでしょう。また、マーケットとして予想される日本、中国、アジア全域をイメージすると、小型であると同時に広い出力範囲のラインナップを揃えるべきでしょうね。さらには、燃焼器の一層の低NOx化も課題でしょうね。
 かつて、セラミック・ガスタービンの開発では、川崎重工と京セラが共同で300 kW二軸ガスタービンを開発したのですが、入口温度を1334℃まで高温化し、効率42%を達成して世界新記録を作りました。この数値はガスエンジンをも上回る立派なものです。

Q: 確かにこの20年を振り返ると、時代の価値観がまるで逆転してしまったような感がありますね。大量消費を前提として構築されたエネルギーシステムが現在のように地球環境との共生が人類共通の急務となった2004年にふさわしいものであるはずがないのでしょうね。

笠木:エネルギー・イノベーションを進めるにあたって重要なことのひとつは、現時点がどのようなプロセスの途上にあるかという認識を持つことです。
 現在の最大の環境問題のひとつである地球温暖化に対しても、エネルギー源の脱炭素化、炭酸ガスの発生抑制と回収が挙げられますが、再生エネルギーに支えられる社会の構築という最終的な解決を実現するには、多分100年という単位の時間が必要となってくるでしょう。ですから、現実的には、それまでの間、未来に致命的な禍根を残さないように上手にエネルギーを使っていかなければならないということを理解して、常に改善への努力を続けていく必要があるのです。

Q:大きな目標に向かうためのロードマップを作成し、それを確実に実行していくという意味ですか?

笠木:そうです。それぞれの問題を個別かつ段階的に解決し、さらにそれを大きな潮流に組み込んでいくことが未来への道筋をつけていくはずです。
 ところで、21世紀はより個性化した共生社会になると私は考えているのです。“しっかり考える個人が、エネルギーを効率よく使うように自ら管理していく”社会です、例えば、家庭用のエネルギーシステムでは、家の外でエンジンを動かし、電気を発生させて照明や情報系の機器に利用します。そして、排熱を暖房、冷房、給湯、厨房、乾燥に使用するというイメージです。トータルにさまざまなエネルギーを管理して上手に使いこなすという発想です。

Q: 理論的には同感ですけど、ここしばらく“コンビニエンス”の名の下にすっかり自分自身の生活に向き合う習慣を見失ってしまった怠惰な現代人には厳しいものがありますね。

笠木:確かに大量生産・大量消費という時代においては全てが画一的で、個人が自分の生活を自らの意思でマネージメントするという発想はなかったでしょうね。大変かも知れないけれど、21世紀は成熟した個人の時代の始まりです。自ら進んで学習し、多元的な価値観を選択する成熟した市民が、異なる文化や伝統を認めつつ、地球環境とも共生する社会を構築したいものですね。
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