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■“時間と共に進化し、熟成する街”を目ざして

編集部:エコロジーパークの他にも、今回の蘇我特定地区のプロジェクトでは、エリアがバランスよく配分されていて、クオリティーの高い都市としての機能が計画されていますね。
整備方針図

山田:まず、地区全体の一体感や連続性の創出を高めるべく計画を進めています。魅力のあるプロムナードとして、地区南北の水際空間を結ぶ「水と緑の環境軸」(青丸線)、蘇我駅と西側水際部まで結ぶ「生活文化軸」(緑丸線)の二つのシンボル軸を構築しました。
 次に土地利用計画ですが、大きく四つの土地利用を想定しています。
ひとつ目は「まちの賑わいを創り出す商業・業務・居住機能ゾーン」として、ピンク色の約59ヘクタールのエリアを商業・業務系、黄色の約20ヘクタールを居住系。ふたつ目は「資源循環型社会を創り出すリサイクル機能ゾーン」として黄緑色の約40ヘクタールのエリアを、三つ目は「新しい産業を創り出す生産・物流・研究系機能ゾーン」として山吹色の約23ヘクタールのエリアを、四つ目は「市民の憩いの場を創り出すスポーツ・レクリェーション機能ゾーン」緑色の約46ヘクタールを計画しました。
 なお、左下の青色網掛けのエリアは、将来港湾関連機能の土地利用が想定されており、整備計画の推進により多彩な表情を持った街が段階的に立ち現れてくる予定です。特に、J1リーグが開催可能なスタジアムを中心に整備されているスポーツ公園は、観戦だけでなく広く市民が楽しめるよう、庭球場、ジョギングコース、サイクリングロード、円形広場に芝生広場などが平成23年を目標に段階的に整備される予定です。この公園は、防災拠点となる機能を併せ持っています。
 楽しめる施設が安心・安全を提供するものであるべきという発想は昨今の土地再生のもうひとつのキーワードではないでしょうか?

編集部:今回のプロジェクトを伺って、今後の蘇我の展開をしっかりフォローしたくなってきました。

山田:今後の経過を是非、継続的に取材しに来てください。蘇我のプロジェクトに多くの方が関心を抱き、さまざまな視線からご意見をいただけたらと思っています。

編集部:未来に向かって“次の世代に何を残せるか?”を考えて、新しい都市をつくる、夢のあるお仕事が目の前にあるわけですね。

山田:そういうことになりますね。今まで蘇我を育ててくれた先人の思いを、ここで新たに飛躍させる役割を担っていることを痛感しています。どのような都市にしても紆余曲折を経て、他の追随を許さない魅力ある街になっていったのであって、元々そうであったわけではありませんしね。

編集部:まさに、“ローマは一日にして成らず”、蘇我の今後の動向を必ずフォローさせてください。

山田:定点観測ですね。お待ちしていますよ。
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