蛍光灯リサイクル工場を訪ねて
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第一部:蛍光灯リサイクルの流れ
伊吹一省 さん

JFE環境株式会社
鶴見本部
ケミカル事業部 蛍光灯リサイクル工場長
伊吹一省さん
 

蛍光灯に含まれる微量の水銀の無害化処理を目的にスタートしました 問い 広大な工場敷地ですね。
鶴見の敷地内にはいろいろなリサイクル工場が立ち並んでいます。私どもの蛍光灯リサイクル工場の他に、有害廃液、建設廃材、乾電池、バッテリーの処理やリサイクルの工場が稼動しています。私どもの蛍光灯リサイクル工場は日本ではかなり初期の1994年に、蛍光灯に含まれる微量の水銀の無害化処理を目的にスタートしました。当初は現在のような完全なリサイクルではなく、蛍光灯を回収し、有害物質である水銀が溶けださない化学処理をして埋め立てるという方法をとっていました。その後、分別や水銀回収などの技術開発・技術導入を進めて、現在のようにほぼ完全なリサイクルが実現しました。
   
  問い 使用済みの蛍光灯は厳重に梱包されて届くんですね。
回収会社から連日、指定のカーゴボックスやダンボール箱にしっかり梱包されてここに入ってきます。破砕して運べば、もっと楽なんでしょうが、破砕するとどうしてもその際、水銀蒸気や水銀を含む蛍光粉が空気中に飛散するので、JFEではそのまま運び、工場で完全処理をする方針をとっています。
 
 
横浜市の蛍光灯の回収箱 
横浜市の蛍光灯の回収箱 
   
  蛍光灯に使用されている水銀は無機水銀ですから、微量であれば人体に著しく有害ということではないのですが、やはり最大の配慮の下での処理を心がけています。まず届いた蛍光灯は手作業で取り出します。開梱した蛍光灯をサイズ別・形状別に仕分けし、それぞれに完全自動の処理機にセットします。この作業はどうしても人間の手に頼ることになり、手間がかかります。

処理機にセットされた蛍光灯は、口金を自動でカットします。以前は、直管の処理機だけだったのですが、現在は丸管にも対応できる機種を開発しました。口金をカットした蛍光灯は、蛍光粉を特殊なブローで取り除きます。蛍光粉は回収して水銀の回収装置に搬送し、そこで、水銀を分離します。分離した水銀は、99.9%の高純度な状態で回収します。ガラス管は、破砕洗浄しガラスカレットとしてリサイクルされます。口金部分も破砕され、アルミ、鉄、プラスチックなど素材毎に分別します。このように開封・仕分けして機械にセットすれば、あとは自動で処理され、素材毎にリサイクル可能な状態に分別されます。
   
 
直管タイプの口金をカットしているところ   丸管タイプの口金をカットしているところ
直管タイプの口金をカットしているところ   丸管タイプの口金をカットしているところ
   
  分別回収した口金部分は、アルミニウム、プラスチック、鉄の原料としてリサイクルに。ガラスカレットはグラスウール(断熱材原料)や軽量骨材、家具などに使用されるガラス原料にリサイクル、水銀を除去した蛍光粉は覆土材などに加工して使われ、水銀はさらに精製され無機薬品原料にリサイクルされることになります。
   
 
分別回収された口金部分のアルミ   水銀が除去されたガラス部分
分別回収された口金部分のアルミ   水銀が除去されたガラス部分
   
  蛍光灯リサイクルのフローチャート図
  蛍光灯リサイクルのフローチャート図
 
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