20万年前に発生した我々(ホモ・サピエンス)は、7万年前に脳の発達が遅れるという突然変異により、言葉を自在に操れるようになり、一気に支配的な種になる準備が整った(心のビッグバン)。
未来を思考できるようになったヒトは何をしたか?
見ず知らずの多くの人々を束ね、協力させることを可能にした。しかしそれは、一人の支配者のための夢を叶えることでしかなかった。紀元後に成立した国で100年以上続いた国は極めて稀だ。この7万年間、ヒトは戦いを繰り返し、まだその時代は終わりが見えない・・・
二度の世界大戦を経て、多くの国は自国第一主義と決別した。自国の権利行使と自国益の追求を抑制し、そうして「浮いた」国権と国富の一部を国際的な機関に供託。世界的なスケールの「公共」を立ち上げ、それによって国際秩序を維持するという方向を目指した。
しかし今、この近代的な国際秩序の理念そのものも揺れ動き始めた。
個人は自己利益のみを追求し、国家は自国益のみを追求すればよい、そういう「自分第一主義」が、支配的なイデオロギーとなってきた。個人も国家も「公共」から撤退しようとしている。「法の支配」から世界は再び「力の支配」、弱肉強食の「自然状態」へ退行しようとしている。
なぜヒトは戦いを止められないのか? 我々に未来は創れるのか?
ヒトは、少なくともこの2000年間、二元論的世界観により資本を搾取(支配)することで物質的な豊かさを謳歌してきた。最初は人的資本(奴隷)、そして石炭や鉄鉱石の地下資源、石油、原子力関連資源、さらにはレアメタルだ。この搾取によって商材が生まれ、資本主義が生まれた。環境と経済が両立しない原理である。
自然の修復能力を超えた過剰な自然の搾取によって、地球環境問題がままならぬところまでヒトを追い込み、搾取することによってのみ循環していた経済が停滞。「自分第一主義」に逃げ込み始めたが、これは理性のさらなる退行を加速した。
現在の延長に未来の子供たちの笑顔はない!
自然を搾取するのではなく、「寄り添う」という新しい文明を生み出せるのだろうか?
世界で1万年以上も戦争のない時代を作り上げた縄文時代が、どうやらその鍵になりそうだ。
©︎ YAMADA Yuki
2004年㈱INAX(現LIXIL)取締役CTO(最高技術責任者)を経て東北大学教授、2014年より現職、ものつくりとライフスタイルのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。特に、2004年からは、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものつくり『ネイチャー・テクノロジー』を提唱、2014年から『心豊かな暮らし方』の上位概念である『間抜けの研究』を奄美群島沖永良部島へ移住、開始した。また、環境戦略・政策を横断的に実践できる社会人の育成や、子供たちの環境教育にも積極的に取り組んでいる。
星槎大学沖永良部島サテライトカレッジ分校長、酔庵塾塾長、ネイチャー・テクノロジー研究会代表、ものつくり生命文明機構副理事長、アースウォッチ・ジャパン副理事長、アメリカセラミクス学会フェローほか