人類滅亡までの残り時間を示す「週末時計」が2025年から4秒短縮し、1974年の算定開始以来の最短、残り85秒になった。
自然の修復能力を超えた過剰な自然の搾取によって、地球環境問題がままならぬところまで人間を追い込み、搾取することによってのみ循環していた経済が停滞。自国第一主義に逃げ込み始め、さらなる自己保守のために世界のいたるところで武力や経済的な戦争が始まった結果だ。
本質的な問題は、ヒトが自然より上位にあるという驕りだろう。最古の物語、ギルガメッシュ叙事詩ではギルガメッシュ王が森の神フンババを殺し森の木を手に入れる。ヒトが自然を踏みにじることは、与えられた権利でもあるまいに・・・
世界中のヒトが日本人と同じ暮らしをすれば、地球が2.8個必要になるという。
無論、地球は一つしかない、一つの地球すなわち自然の修復能力以下で暮らすことが唯一の解決法なのだ。それは今の地球環境負荷の約4割(1/2.8)で暮らすということでもある。
今の4割の環境負荷で暮らせますか?と尋ねると多くの人が不可能だと答える。でも4割で暮らすことは一つの選択肢ではなく“must”なのだ。それが出来なければ未来の子供たちに手渡すバトンはない。
では、自然を搾取するのではなく、寄り添うという新しい文明は生み出せるのだろうか?
世界で唯一、1万年以上も戦争の無い時代を作り上げた縄文時代にその鍵がありそうだ。
作家・島尾敏雄は、「日本の深層は大陸からの影響などによって隠され、表層には姿を現さない。しかし、その『根っこ』には、共通する土着性(基層)が潜んでいる」といった(ヤポネシア論)。
弥生時代以降、統一国家としての二元論的文化が表層を覆ってはいるが、基層文化が現代社会にも脈々と生きていることは明らかだ。それは人とのつながりを大事にし、自然に感謝し、自然を活かし、自然を往なす暮らしの形なのである。
それは、あるべき未来の姿でもあるのだ。
我慢することなく、ワクワクドキドキ心豊かに一つの地球で暮らす、その範を示せるのは日本人だけかもしれぬ。
©︎ YAMADA Yuki
2004年㈱INAX(現LIXIL)取締役CTO(最高技術責任者)を経て東北大学教授、2014年より現職、ものつくりとライフスタイルのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。特に、2004年からは、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものつくり『ネイチャー・テクノロジー』を提唱、2014年から『心豊かな暮らし方』の上位概念である『間抜けの研究』を奄美群島沖永良部島へ移住、開始した。また、環境戦略・政策を横断的に実践できる社会人の育成や、子供たちの環境教育にも積極的に取り組んでいる。
星槎大学沖永良部島サテライトカレッジ分校長、酔庵塾塾長、ネイチャー・テクノロジー研究会代表、ものつくり生命文明機構副理事長、アースウォッチ・ジャパン副理事長、アメリカセラミクス学会フェローほか