コロナ禍でグローバル・サプライチェーンが価値を失って以来、EUを中心とした極右ポピュリズムの台頭と、アメリカ・ロシア・中国の覇権主義的な動きで世界は混沌としている。
この根底には、現在の資本主義の行き詰まりがある。資本主義は自然からの搾取とその加工による再分配で成立するが、今、この循環が従来の延長では上手く回らなくなってきた。資源は掘りつくされ、採掘に膨大な費用が掛かり、重大な地球環境問題を起こし、さらに資源そのものの偏析が国家間の重要な戦略物資になっている。
その結果、自国の戦略物資を如何に確保するのか、そのための戦争であることが見え隠れする。資源の確保が困難になればなるほど自国第一主義を掲げ、戦いを正当化し、国民を扇動する。
一方で、ヒトの欲はとどまることを知らず、無限に膨らんでゆき、産業界はそれを煽る。生成AI(人工知能)がそのよい例だろう。
例えば、ソフトバンクグループが米国オハイオ州に建設を決めた世界最大級のデータセンター(AI向け)に必要な電力は、10ギガ・ワット(GW)。オハイオ州の総発電量(30GW)の1/3に相当する。
そして、その発電のほとんどをガスに頼るとなれば、大きな環境負荷を新たに生み出すことになる。しかし、これも「AIの普及は社会が要求しているものである」という似非正義に押し切られた。我々は、本当に進歩しているのだろうか。
そろそろ環境負荷そのものを下げる新しい暮らし方(行動変容)や、ものづくりの概念の変更に本気で取り組まねば、もう残された時間はない。
仏の文化人類学者レヴィ・ストロースは「ブリコラージュな生き方の方が、西洋文明よりもずっと豊かで幸せなのではないか」(野生の思考)と説いた(ブリコラージュ:「あるもので済ませる」「寄せ集めて何かをつくる」)。自然はブリコラージュな世界で、利他的である。
石油の輸入停滞で、これから多くのものが急激に値上がりするだろう。それを嘆くのではなく、逆手にとってブリコラージュな生き方を模索するのも素敵なことだと思う。
©︎ YAMADA Yuki