エコピープル 50「東京スカイツリー物語」part8

LEDを選択したことは正解だったと思います。

編集部

東京スカイツリーのライティングに採用されたLED照明器具はすべて特注とのことですが?

浅西

私どもの部門は施設・店舗用の特注照明器具を専門に開発しています。照明器具は設置される建造物にあったサイズや形の器具が必要とされることから、性能だけでなく形状としての特注品の需要があり、それなりのマーケット規模があります。ただ、今回のように地上634メートルという世界一の高さを持つ細長いタワーをライティングするための照明器具の開発は、設置条件、上空での設置も含めて、開発へのハードルは大変高いものがありました。結果、設置された照明器具は1995台、LEDの導入により、照明デザイナーから提示された照明プランにおいて、従来光源比で、約40%の省エネが実現しました。

編集部

東京スカイツリーのライティングは当初からLEDという方向性で開発されたのですか?

浅西

私どもに照明器具のご依頼があったのは3年前、当時は成熟したライティングシステム、HID(高輝度放電灯)で検討を開始しました。ただ、早い段階で、LEDで行こうという判断が出まして、それからはLED照明器具の開発に集中してきました。本体への設置テストも終え、開発責任者として今回の東京スカイツリーのライティングプロジェクトを振り返り、改めてLEDを選択したことは正解だったと思います。

編集部

それはどのような理由からですか?

浅西

ご承知のように、東京スカイツリーは細く、長い構造を持つ電波塔です。特に突端のゲイン塔部分だけでも100メートル余り、こうした条件下で求められる照明性能とは、照明したい場所をピンポイントで絞り込むことです。東京スカイツリーには6種類のLED照明器具を開発しましたが、ゲイン塔のLED照明には、「パラボラ曲面」反射板を搭載し、意図しない方向に漏れる光を遮断する光漏れ対策を徹底的に検証しました。その結果、反射板と補助反射板を組み合わせ、光を正確に絞りこむ「超狭角配光」を実現できたことはまさに開発者としては快挙でした。近年、世界各地で問題にもなりつつある"光害"、これは過剰な光が周辺に無駄に拡散することで近隣の生活者への影響を懸念するものです。スペースシャトルなどに乗船した宇宙飛行士が撮影した地球の写真をみると、真っ暗な宇宙空間の中に地球が煌々と輝いています。これは、それだけ無駄な灯りが宇宙空間にまで漏れていることを意味します。照明したい場所だけを的確に照らすことができたら、このような光の無駄使いは起こらないのです。
現代社会において省エネという観点から、照明の電力量の節減はもちろん検討すべきですが、同時に、無用な場所を照らさない照明設計、照明器具選びがもっともっと浸透したら、快適で、変化のある"あかり環境"を私たちは手に入れることができるはずです。

編集部

あかりの種類や特性を知り、シーンや用途に応じて照明器具を使い分けるという発想ですね。

浅西

その通りです。現在、私どもが取り扱っている照明器具にはオフィスや公共交通などで使われている蛍光灯、家庭や店舗での需要が多い白熱灯、道路照明などに使われるHID(水銀灯)、そしてLEDと、主に4種類の照明器具があります。これらの照明はそれぞれに特性があり、ニュアンスが異なるあかりです。照明器具にはそれぞれに時代毎のブームがあるのですが、LEDはまさに現在ブームの照明器具です。これからの時代は、LEDを中心に複数の照明器具を効果的に組み合わせることで、変化のあるあかりライフが楽しめる時代へとシフトしてゆくのでしょうね。

浅西斉さん

浅西斉さん

編集部

スカイツリーに設置されるLED照明器具のポイントについて伺えますか?

浅西

なんと言っても地上634メートルの東京スカイツリー、その設置環境はまさに過酷のひと言につきます。暑い夏の直射日光、暴風雨、落雷、振動、冬季の凍結、さまざまな自然条件の中での耐久性と安全性を確保し、さらに設置作業時にはビスひとつ落下しないよう配慮した設計を行う(or配慮する)ことなど、開発行程は"世界一"にふさわしく緻密で難易度の高いものでした。LEDの寿命は40,000時間と言われていますが、次回の交換時まで、つまり10年後にも支障がないようにするのが開発技術者の使命です。弊社が培ってきた照明に関わる様々な技術、配光設計、高精度の色再現、放熱設計、そしてトータルでの評価基準、これらが結集され、到達できたのが今回の照明器具です。こうして最初は不可能に思えるようなプロジェクトに出会うことで、技術は進化し、磨かれてゆくでしょうね。

2011年7月25日・パナソニック東京本社にて

東京スカイツリーに設置されている ライティング機器について

総設置台数 1995台

6種類のLED照明器具の特徴

1.ゲイン塔の照明 60台
ゲイン塔の照明
塔頭部を白くライトアップする投光器。
反射板と補助反射板により「超狭角度配光」を実現し、
高出力化を図る。

製品仕様:直径/65cm 高さ/35cm 重量/25kg
2.時計光の照明 264台
ゲイン塔の照明
展望台を約1秒で1周する光の演出。
「粋」と「雅」で異なる表情で拘束かつきめこまやかに
まわり続ける光を演出する調光制御。拡散配光設計。

製品仕様:縦/30cm 横/35cm 高さ/15cm 重量/約12kg
3.「ゴールド」色の照明 712台
「ゴールド」色の照明
タワーののびやかな高さを表現するゴールド色の光。
高出力の光を実現する反射板設計。
アンバー色・白色のLEDで調色。 

製品仕様:
【ゲイン塔からのライトダウン】
縦/約40cm 横/約50cm 高さ/約20cm 重量/約20kg
【展望台からのライトダウン】
縦/約40cm 横/約50cm 高さ/約20cm 重量/約20kg
【地上からのライトアップ】
縦/約40cm 横/約50cm 高さ/約20cm 重量/約18kg
鉄骨交点の照明 348台
鉄骨交点の照明
金箔を散りばめたような光の演出。
点状の光をつくる器具形状。

製品仕様:縦/25cm 横/30cm 高さ/30cm 重量/約9kg
「粋」色照明 552台
「粋」色照明
隅田川をイメージさせる淡い水色の光。
フルカラー演出が可能なRGBのLEDで「粋」色を調色。

製品仕様:縦/40cm 横/70cm 高さ/20cm 重量/約30kg
「雅」色照明 59台
「雅」色照明
気品のある江戸紫を表現。
「雅」色のLEDパッケージを新開発。

製品仕様:縦/40cm 横/50cm 高さ/20cm 重量/約18kg

LED照明器具EVERLEDSについての特設ページへ